とくと見つめよ、わが魂よ～《ヨハネ受難曲》より (ヨハン・セバスチャン・バッハ) / ピアノソロ 中級

バッハはライプツィヒのトーマス・カントルに着任して初めて迎える聖金曜日の1724年4月7日に《ヨハネ受難曲BWV245》を初演した。その後、この受難曲は1725年、1732年、1739年、1749年に改定・再演されており、1725年の大幅な改定の後、徐々に初稿に近づく、という変遷を経ている。本盤に収録したのは、バッハがリュートを使用したバス、ヴィオラ・ダモーレI･II、リュート、通奏低音のためのアリオーソである。救世主の受難の内に人類の至福が啓示される逆説という宗教的摂理が歌われる楽曲であり、静謐な雰囲気の中でリュートが時を刻むように奏でられる。鍵盤用に編曲するに際しては、リュートの音型の妙味を活かしつつ、バスの歌い手の旋律がなるべく自然に溶け合うように配慮した。