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殖ゆ光〜ソロフルートのために〜 (カズミ・ツカモト) / 中〜上級

楽譜ID : 160603
36
中〜上級
全7ページ
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" Increasing lights "は2007年に故人 西澤幸彦さんのお声かけにより作曲したフルート・ソロの作品です。匠な奏者は作曲家に叡智を与えてくれます。西澤さんもそのような演奏家の1人でした。フルートの低音を響かせるには気流の関係から時間を要する、大きな音の出る楽器ではないので大きな音をどのように作るかは小さな音の作り方の探究により実現できる、など、多くの教えをいただきました。西澤さんが急に病で倒れられたため千葉純子氏に初演していただきましたが、その3ヶ月後に西澤さんは車椅子姿で拙作を堂々と演奏してくれました。観客の中には涙を流された方もおり、私の中で思い出の深い演奏会の一つとなっています。
作品はes→h→cと始まります。これをdis→h→cと聴くか否かが最初の勝負です。前者はAs-durもしくはc-moll、後者はe-mollなどを予感するでしょう。現代の聴衆の多くの方は調性音楽が脳裏にありますから。この曲はもちろん調性音楽ではありませんが、聴き手が拠り所を感じられる様式を用いています。拠り所(核音のようなもの)の存在により、また、現在の位置と拠り所との距離により、音楽の方向性や発展を人は感じると予測しています。音楽は、フレーズの音価が徐々に縮まりカタルシスへと向かいます。到達点は長い音価の単音と短い音価の音群によるマエストーゾで書かれ、飽和状態が描かれています。そして曲の最後は、中音域より少し高い音で曲を静かに閉じています。
“Increasing lights”の邦題は「殖ゆ光」です。「冬」の語源の諸説の一つに「殖ゆ」があります。「光」は「音」を意味します。つまり冬は、新たな始まりである春までのエネルギーの蓄積期間であり、この曲で言うと「静かな音(冬の音)が蓄積するエネルギー」となります。この曲は、フルート・ソロの楽譜に若干の手を加え、クラリネット・ソロとしても演奏されています。


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