ピアニストの母に幼少の頃からピアノを習い、10歳の時にはリサイタルを開くほどの天才ぶりを発揮していたルーマニア出身のジャズ・ピアニスト、オイゲン・キケロ。この曲は、彼のデビュー・アルバム『ロココ・ジャズ』に収録されています。クラシックの名曲をジャズ化させて成功したピアニストにジャック・ルーシェを挙げることもできますが、クラシック・ピアノからジャズやポピュラー・ピアノを演奏することに興味を持った方へ最初にご紹介したいのが、このオイゲン・キケロの演奏です。耳馴染みのある曲というだけでなく、アドリブや音選びのひとつひとつが極めて上品でありながら、理屈っぽくなく洒落ているところもいいですね。フルサイズではなく “ハ長調8小節、ト長調8小節” を1単位に6回ししているアドリブの中から、今回は1~3と5回目をチョイス。左手はピアノのバッキングだけではなく、軽快に走るベースも取り入れながら、ひとりで完結できるスタイルにまとめてみました。澱みなくキラキラ輝くような音色で一気に走り抜ける爽快感を味わって欲しいです。今回省略したアドリブの部分も、耳コピをして挑戦してみると楽しいと思います。[A]のメロディは、小玉がオイゲン・キケロの演奏なので、お好みで選んで演奏してくださいね。