イタリアのナポリ出身で多くの歌曲、管弦楽曲を残したトンマーゾ・ジョルダーニの作品です(古い楽譜集や文献にある、ジュゼッペ・ジョルダーニが作曲したというのは間違い)。イタリア歌曲の中で最も親しまれているアリエッタで、高校の音楽の教科書に取り上げられているため、声楽を専門に勉強したことのない方でも、初めて歌った正統なイタリア歌曲だという思い出をお持ちの方も多いのではないでしょうか。作詞者は不明ですが、男性が想いを寄せる女性に切ない恋心を語る内容です。ピアノ伴奏をしたことのある人にとって、拍がつかみにくい楽譜の書き方になっていることも、特徴のひとつかもしれませんね。その“謎”のような拍の考え方も、告白のスタイルも、もっとストレートにカジュアルにお洒落にと考えたアレンジは、ボサ・ノヴァのリズムに乗せて、あくまで軽いタッチで過剰表現にならないようにサラッと演奏して欲しいです。原寸ですから、この演奏に乗せて歌うことも可能です。ほろ酔い気分でサラッと告白するような空気感が似合いそうですね。