全4曲構成:
1.釣舟草は霧雨に浮かぶ 2.野をかける初夏
3.月影に君を待ちて 4.小花の踊り
編成:マンドリンオーケストラ(マンドリン×2、マンドラ、マンドロンチェロ、ギター、コントラバス)
難易度:中級程度
演奏時間:15分程度
私が尚絅中高ギターマンドリン部に関わるようになって以来、阿蘇の草花、自然や文化は私にとってぐっと身近なものになっています。絶滅の危機に瀕しているハナシノブ、ツクシマツモトをはじめ、阿蘇はこの地にしかいない希少な植物の宝庫です。
高森町を訪れたある初夏の夜のことでした。静かになったので外をのぞくと、それまで弱く降っていた雨はやみ、わずかに雲が晴れてゆくのでした。意を決し(しかし恐る恐る)野草園を散策すると、そこには月明かりに照らされたハナシノブが一株。「君を待つ」の花言葉の通り、私を待っていてくれたような気がして、とても胸が高鳴ったのを覚えています。このときの出来事がそのまま曲を書くきっかけになりました。
しっとりした空気や短い命を謳歌する小さな生き物たちなど、第1~3曲はこれまで私が目にし、印象に残った風景を、そして第4曲はこうした阿蘇が見せる美しい表情に対する賛辞を音楽にしたものです。人も虫も草花たちも、生態系を作る仲間です。ついつい忘れてしまいがちですが、たまには彼らと同じ目線に立って生きていきたいものです。