○楽曲情報
Pastel Lily
作曲:上野友裕 (UENO, Tomohiro)
演奏時間:5'30"
グレード:4
○楽曲解説
今作は、なんとなくのイメージ(≒印象)に対して作曲を行うことをテーマにしました。言葉にするのが難しい部分だからこそ音楽にできたら、という意欲が前面に出た作品になったと感じます。百合のイメージを膨らませると、聖母マリア受胎告知の絵画に多くの画家が添える象徴であったり、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言い回し、その他、女性同士の関係を表すこともありますが、女性的な何かを雅やかに表現できたら、という気持ちが芽生え、この作品に辿り着きました。また、実際に百合の花を置いてみると、遠くから眺めた印象と比して、近くでは強い匂いが感じられることに気づき、その体験もどことなく創作意欲を掻き立ててくれました。
『百合の印象』は大きく3つのパーツで捉えられる作品ですが、スコアに書き込んでいる日本語の楽語から一部、ご紹介させていただきます。
--------------------
1.「淡い花の佇まいのように」「淡々と流れる水のように」
2.「上品に気高く」
3.「故郷の安堵を感じて」「祈りも込めて」
--------------------
1.はパステル調の水彩画のような滲みゆく淡さを大事にしており、3.は1.を再現しながらも感情により重きを置く、という変化をつけております。そんな中、2.の「上品に気高く」は異彩を放っております。印象としては、柔和でもその中に通っている芯の強さもしっかり入れ込みたいという想いで、技術的なところではボイシングに特に工夫を凝らすなどしたこだわりの箇所です。5つの楽器が編み出す、淡くて繊細な雰囲気を堪能していただけましたら幸いです。
○楽器編成
Flute
Oboe
Clarinet in B♭
Horn in F
Bassoon