F. ブゾーニの編曲によるシャコンヌは、4弦で奏されるJ. S. バッハの作品の延長線から大きく離れ、88鍵の楽器のもつ能力を存分に生かした彼独自の作品の態をなしている。その作品の持つ、巨大で深遠な世界観を、左手のみという限られた前提のなかで再現・共有するためのひとつの解として、本編曲を提案したい。(大和誉典)