被災地に行ってがれきを片付けられるわけでもなく、
高額な寄付金でだれかを救えるわけでもなく、
壊れた原発をなおすことが出来るわけでもなく、
作曲家は、ただ作曲する事しか出来ないのです。
そんな現実と向き合った1年でした。
音楽で被災者を元気付けようとか、
被災地の子どもにこの曲を歌ってほしいとか、
みんなで被災地に行って歌おうよとか、
そんな事はまったく考えていないのです。
たとえ被災地から離れた所に住んでいても、
地震や津波や原発のニュースなどを見たり聞いたりして
怖い思い悲しい思いをしている子どもがたくさんいる。
そういう子どもたちが、歌を歌っている間だけでも、
そんな思いから解放されたらいいな、と思うのです。
「終わらない冬はない」・・・使い古された言葉ですが
今は心からこの言葉を信じたいと思っています。
「風のゆくところ」 作詞:櫻井よし乃
風は どこからくるの
あの山を こえて
梢に春を 渡しながら
街へと 吹いてくる
巣作りする軒も
今は ないけれど
渡り鳥は 飛んでくる
この街を目指し
頬をなでる風は 優しくて
髪を揺らす風は 温かい
終わらない冬はない
春は そこにあるよ
風は どこまでゆくの
あの海の向こう
心の中を 通り抜けて
静かに 吹いてゆく