新記譜法color5による出版第3弾はバッハの6声リチェルカーレ作品です。世界初の運指付楽譜であるだけでなく、世界で最も譜読みしやすい楽譜を目指して作成いたしました。最初の1頁(4種)を無料公開しておりますのでプリントアウトして譜読みをお試しください。パソコン画面上緑が蛍光色的になり見づらくなっておりますが、紙上ではくっきりとした色で印刷されます。
この作品は当時(室内楽の)総譜の形で出版されたため、しばらく何で演奏されるかが議論になりました。しかし、バッハによる2段譜(大譜表)で書かれた自筆譜も発見され現在では当時のチェンバロ、クラヴィコード、ジルバーマンピアノ等での演奏が想定されていると結論づけられています。フリードリッヒ大王から「この主題で6声のフーガが演奏できるか?」との問いにバッハが答えた作品である、との逸話も残っております。
今回は底本として新バッハ大全集のベーレンライター版(2000改訂新版)を使用しました。ベーレンライター版には出版された総譜を2段で書き改めたものに加えて、付録としてバッハによる2段譜をそのまま浄書した物も含まれます。二つには数カ所差異がありますが、color5では出版された総譜をバッハの意図として尊重し、前者を採用しました(自筆譜はIMSLPなどで手に入ります)。
ベーレンライター版(やそれ以前の版)では、上下段が離れすぎており、譜読みしづらい問題点がありました。当然右手で取るべき音が左手で取るような位置に記載されていたり、下段にあるのに上段に書かれた音より実は音が高かったりすることがあります。また、同じ理由により同じ主題でも形がデフォルメされ、テーマと気づきにくい場合があります。
color5では上下段を最小限の間隔としているため、それらを解決しております。
また、この作品は6声も有るため、音が密集します。そのため変位記号がどの音に付与しているのか、分りにくくなります。声部進行が見づらいと言ったことも発生します。これらも、変位記号を音符の色そのもので区別し、分りにくいフーガのテーマなどを色線で表すことで解決しました。譜読みミス、テーマの確認漏れが防げると考えております。
なお、「音楽の捧げ物」史上初の運指付楽譜です。しかし、自分で納得した運指だけを書き込みたいというピアニストもいると思いますので、運指無しの譜面も同梱しました。
運指有り無し譜面共にA3 3ページ(A4 6ページ)で譜めくりは1カ所だけ。しかも、唯一片手が空くタイミングに合わせておりますので、譜めくリスト不要です(A4 では2枚を繋いでA3サイズとなるようご製本下さい)。譜読みからコンサートまで1つの楽譜でお楽しみいただけます。
【第2版での改善点】
2011年12月19日に第2版を販売開始いたしました。次の改善点がございます:
・A4サイズも同梱しました
・各声部のスラー・連桁・符幹・休符を次のように色分けしました:
第1声:黒
第2声:緑
第3声:青
第4声:黒
第5声:緑
第6声:青
混雑する中、声部、特に休符の見落としなどがないようにデザインしました。
・その他若干の微調整を実施 (音の誤りは見つかっておりません)
【仕様】
記譜法:color5 (カラーユニバーサルデザイン準拠)
指使い:有り無し同梱
サイズ:A3横 3ページ2組、A4縦 6ページ2組 (それぞれ運指有り無しの2組ずつ)
踏めくリスト:不要
チェンバロ、クラヴィコードでも快適にご使用いただけます。