この曲は「魂」をテーマに作曲しました。人の生には限りがありますが、それまで生きてきた軌跡(魂)は関わった人々の心の中に生き続けていくのではないでしょうか。そしてその連鎖は人から人へと限りなく続いていくのだろうと思います。「悠久の樹」は「果てしなく続く魂の成長」を意味して題しました。本作は大きく2つの部分に分けられます。前半は苦難や挫折を、後半は祈りと希望を表現しました。前半はクラリネットとピッコロの短調の主題(Mesto)に始まり、この主題は曲中様々な箇所に現れます。サクソフォーン族で奏される第2主題を介しながら、曲は少しずつ姿を大きくし、Allegrettoになります。以降は様々な感情の波が押し寄せ、2つの主題が激しく入り混じります。後半はホルンのソロにより、第1主題が長調で奏されます(Adagio pregando)。様々な楽器で歌い継ぎながら、中低音楽器で奏される祈りの旋律へと誘われます。その後、決心の音楽(Allegro risoluto)を経て祈りの旋律を再現し、最後は力強いコーダで曲は終わります。*この譜面は,第11回日本管打・吹奏楽学会作曲賞佳作入選に際し,加筆訂正を加えたものです。