オリジナルキーだと難しい場合がありますので、汎用性のあるCベースの楽譜を1ページ目に持ってきています。
「木綿のハンカチーフ」(もめんのハンカチーフ)は、太田裕美の楽曲で、4枚目のシングル。1975年12月21日に発売された曲です。発売元はCBS・ソニー。太田最大のヒット曲であり、累計売上枚数は、オリコンの統計では86.7万枚、ミュージック・リサーチ社の発表では150万枚以上。
名目上は、1975年12月5日に発売された3枚目のアルバム『心が風邪をひいた日』からのシングルカットであるが、実際にシングル盤では新たに録音し直されました。
これは、歌詞を一部変更し、萩田光雄単独の編曲によるアルバムバージョンに筒美京平が若干アレンジを加えたためです。
この楽曲は、完成するまではかなりの紆余曲折がありました。作詞の松本隆は、都会(≒東京)に出た男性と故郷に残された女性との遠距離恋愛を対話形式で歌詞にしましたが、こうした男言葉と女言葉が交互に切り替わるという構成は、当時の歌謡曲ではおよそ前例のない試みであり、新しい日本語ポップスを創造しようという松本の高い問題意識が現われていました。
一方、作曲の筒美は「詞が長過ぎる」と松本に対して更に短くすることを望んでいました。しかし、松本や担当ディレクター兼プロデューサーの白川隆三と連絡が取れず、仕方なくそのまま歌詞に合わせて曲を作りました。
実際に取り掛かるとすんなりと進み、「いや?、いい曲が出来たよ」と喜色満面で提出したとのことです。
歌詞は、ボブ・ディラン「スペイン革のブーツ」に着想を得たと思われる(「スペイン革のブーツ」では女性が旅立つのに対して、本作では男性が旅立つ内容となっています)。
また、作詞を担当した松本自身が2017年11月18日放送のTBS系サワコの朝で語ったところによれば、当時のディレクターの白川隆三が九州の炭鉱町で生まれ育った人物であり、当人より「松本くんの歌はずっと東京で生まれ育った人の内容だから、地方の人にはうけない」と指摘されたことを踏まえ、白川をテーマに書いたということです。
主人公の「おとなしく耐えて待つ田舎の女の子」には、松本の理想の女性像が反映されているようです。
一方それを歌う太田は言いたいことをハッキリ言うサバサバした性格であり、そうしたキャラクターのギャップが、太田の入れ込み過ぎない客観的な歌いぶりにつながり、リスナーに広く受け入れられ易くなったと平山雄一は論じています。
オリコンチャートでは最高2位でしたが、ミュージック・ラボのチャートでは1週のみだが最高1位を記録しました(前後の週の1位は、子門真人の「およげ!たいやきくん」とダニエル・ブーンの「ビューティフル・サンデー」)。
同1976年末、太田自身初出場となった『第27回NHK紅白歌合戦』の披露曲であり、1・3・4番を歌唱したが、紅白本番での「木綿のハンカチーフ」は、当時は放送時間の制約で1曲3分以内が原則であったこともあり、原曲よりも速いテンポで演奏されていました。