悲しい酒(かなしいさけ)は1966年6月10日に発売された美空ひばりのシングル曲。
作詞石本美由起、作曲古賀政男による、美空ひばりの代表曲のひとつして知られています。 145万枚を売り上げるミリオンセラーとなり、美空ひばり全シングル売上の歴代第3位となっています。
元々は、1960年に北見沢惇のために書かれた曲でしたが、北見沢はこれ以前からヒット曲に恵まれず、酒や暴力で荒んだ生活からの再起をかけたこの曲もヒットしませんでした。その後、北島三郎によるカバーも試みられたが、日本クラウンの発足に伴う同社への移籍で立ち消えとなり、古賀の弟子だったアントニオ古賀もこの曲に挑戦したが、歌唱の難しさから自ら断念しています。
誰に歌われることもなく埋もれたままになっていたこの曲だが、埋もれさせるには惜しいと感じていた作曲者の古賀政男により、カバー曲であることを伏せたまま美空ひばりにレコーディングされ、1966年6月10日にシングルレコードとして発売されるに至ります。
ちなみに、オリジナル歌手である北見沢惇は、その後もクラブ歌手として活動したが、「酔っ払いに聞かせる曲じゃない」とほとんどこの曲を歌わず、美空ひばりバージョン発売直後の1966年8月9日に病気で夭折しています(享年30)。
ひばりは、かなり後年になって関係者からカバー曲であることや北見沢が既に他界していることを聞かされたが、意に介さない様子で「そうだったの。みんなで私を騙していたんだ」と笑ったといいます。
初発時のシングル(SAS-731)にはセリフが入っていませんでした。その後、セリフ入りのバージョンが制作され、1967年3月に発売されたコンパクト盤「美空ひばりの悲しい酒」に収録されました。これ以降に発売されたベストアルバムなどにはセリフ入りのバージョンが収録されることが多くなります。