この曲は、オーボエ奏者広田智之氏の委嘱によって、同氏のリサイタルを記念して 2003 年 6 月から 8 月にかけて作曲した ものである。
『いずこからともなくキラキラと降り注ぐひかり、その温もりに包まれながら、自然の偉大さ美しさを身体いっぱいに受け止 めて、日々を送れる幸せを感謝しつつ、~祈りそして戯れる~。 』
このような心情をもととして、曲は「祈り」をイメージした Lento の即興的な曲想の第一部分、「戯れ」を描いたリズミック でテクニカルなフレーズが交錯する Allegro の第二部分、そしてカデンツ的要素を含む「祈り」の第三部分、及び「戯れ」に よる短いコーダ、で構成されている。
構造的には何処にでもある三部形式で何ら工夫はされていないが、このような普遍的な構造を提示する事によって、演奏者 の独創的な表現上の工夫が曲の各部分で生かされるとともに、オーボエの個性的な音色の魅力もより引き立つと考えた。 演奏にあたっては、指示されたテンポや各種の記号に捕らわれ過ぎずに、フレキシブルな感性で自由に表現してほしい。
なおこの曲は、2003 年の広田智之氏のリサイタルにおいて初演され、その後、2004 年の日本音楽コンクールにおいて荒 絵理子氏が演奏し見事第一位に輝いた。