1821年に書き始められ、翌22年に完成している。このころ〈ミサ・ソレムニス〉が作曲されており、この大作と取り組む合間を縫うようにして完成したのが本曲である。一連のソナタの中で後期の、それも最後の方に位置する傑作である。ソナタにおける構築性を追究するのみならず、実にさまざまな要素を溶け合わせた、ある種の「凄み」に達している作品である。ベートーヴェンの後期ソナタに特徴的に用いられている「フーガ」部分では、各声部が高めあうように進行し、激しい気持ちの高ぶりが感じられる。