〈18の小品 op.72〉は最晩年の1893年、交響曲第6番〈悲愴〉と同時期に書かれた小曲集である。16分音符の間を縫うようにして最上声部に置かれた旋律は、音域を変えながら、あちこちで響きわたるこだまのように何度も繰り返される。強弱の変化も細かくつけられているので、響きの「遠近感」を出す工夫をしてみよう。