フォーレの特徴「旋律美の極み」がピアノ曲でも存分に発揮されていた1884年頃の作品。11小節にわたる主題がオクターヴで繰り返され、その度に伴奏が変化していくのはフォーレのノクターンに特有な手法である。続く中間部では、両手の16分音符によって同主短調の和音が醸しだされ、その中から2分音符が鐘のように鳴り響いてくる。再びくっきりと旋律線を浮かび上がらせながら、冒頭の主題が回帰する。