〈ペトラルカのソネット〉は、はじめ声楽曲として成立した。同時期にピアノ版も完成し、〈巡礼の年〉に入れられたのである。原曲がテノールを想定して書かれた歌曲だけあって、右手から左手へと受け継がれるその旋律は男性的な強さを秘めている。曲の盛りあがりと共に頻繁に登場する3度のトリルやオクターヴの連続、技巧的な華やかさは、最もリストらしさを感じる部分ではないだろうか。