クラヴサン曲集第3巻より。古代神話でシテール(キュテラ)とは波間から生まれたヴィーナスが最初に上陸した島のことである。クープランと同時代に活躍した画家ヴァトーは、同じ題材を用いて〈シテール島の巡礼〉(1717)という作品を描いた。その作風は優雅かつ繊細そのものである。それらを音楽で表現するために、クープランが工夫を凝らした多彩な装飾音を、優雅に表現したい。