原曲版。1839年の作品である。もの悲しいアルペッジョに誘われるようにして登場する主題は、右手から左手へと引き継がれていく。グリンカは美しいメロディーを沢山残しているが、このノクターンもその旋律美に最大の魅力があるといえよう。曲の随所に見られる低音のアルペッジョと、旋律にほどこされた装飾音が独特のニュアンスを醸し出している。