シューマンの歌曲集〈リーダークライス op.39〉の第12曲をリストが編曲した。おそらくこの旋律のもつ魅力を最大限に引きだすには、声で歌われるのが一番だろう。しかし当時、原曲をほとんど知らない聴衆に、ピアノを通じて多くの重要な作品と接する機会を与えたという点において、編曲のはたした役割は大きい。ピアノという楽器のもつ可能性を最大限に引きだす能力を兼ね備えていた人物、リストならではの作品といえるだろう。