〈2つの舞曲 op.73〉は1914年、亡くなる前の年に書かれている。スクリャービンにとって「炎」は神秘性の象徴であった。不協和音の響きの中に散りばめられた音や、Presto から Prestissimo にかけての狂気寸前の荒々しさが特徴的である。彼は弱い光を好んだようで、ほの暗い部屋で練習をしたり、演奏会でも真っ暗にして演奏を終えることまであったそうだ。