芭蕉布は、バナナの仲間である糸芭蕉の繊維を用いた織物です。
琉球王国時代から最上級の献上品として用いられ、「トンボの羽」と表現されるほど薄く軽い生地はとても風通しがよく、さらりとした肌触りで体に張り付きにくいため高温多湿の沖縄では珍重され古くから着物の生地として親しまれてきました。
楽曲についてはハワイ生まれの沖縄系三世の歌手、クララ新川に提供するため企画されたもので、普久原恒男が作曲を担当。歌詞は外国の人にも歌いやすいようにと英語詞等で企画されましたが完成に至らず、鳩間島出身の中学校教師・吉川安一によって持ち込まれた「芭蕉布」の歌詞を採用、1965年にレコーディングされました。
沖縄音楽ではあまりみられない三拍子のリズムにアクセントとして一カ所琉球音階をしのばせて作られた曲「芭蕉布」は、南国の日差しで輝く青い海と空の鮮やかさ、南の風に揺れる芭蕉の葉、そんな風景が見えてくるような心地良さを感じる沖縄の名曲です。