
19世紀末から20世紀初めにかけてパリで活躍し、同じフランスのドビュッシーやラヴェルに止まらず、西洋音楽全体にも影響を与えたと言われる作曲家エリック・サティ(1866?1925)。自由な作風や、鑑賞するだけの芸術作品ではない音楽のあり方をも示したことから「音楽の異端児」とも称された彼は多くのピアノ曲を残しています。『ジムノペディ』などと並んで今日よく知られている作品の一つが『ジュ・トゥ・ヴ』です。もともとは1900年に“スロー・ワルツの女王”と呼ばれた人気シャンソン歌手ポーレット・ダルティのために書かれたシャンソン(歌詞はアンリ・パコーリ)で、後にサティ自身がピアノ独奏曲としても発表しました。
このアレンジはピアノ版に基づいています。サティの音楽の持つ“粋”を尊重しながらジャズ感を随所に取り入れ、さながらショー・ミュージックのようなアレンジを目指しました、もしサティがジャズの影響を受けていたら…などと考えながら(もっとも、『ジュ・トゥ・ヴ』が作曲された時代、まだジャズという音楽スタイルは確立していなかったはずですが)。
(正門研一)