
「三人寄れば文殊の知恵」ということわざもあるように、この曲はまさに三人によるディスカッション、何かの結論を導き出そう、知恵を絞り出そうと、時には呼応し合い(あるいは模倣し合い)ながら、またある時は反発し合いながら議論する様をイメージしたいただけるといいでしょう。そうした様を、タイトルにあるように半音階的に処理していることもあり、やや冷たく厳しい曲調になっていると思います。とはいえ、冒頭に「Scherzando」と示している通り決して悲観的な音楽ではありません。半音階的ですが無調ではなく、ほのかに調性感が漂っています(複調的な場面も多々見られますが…)ので、演奏される皆さんなりの結論、知恵を出すことは決して困難なことではないと信じています。また、「RONDO」というタイトルですが、こちらも、核となるモティーフを起点に活発な議論が繰り広げられる様を表そうとしたもので、作品の形式を表すものではありません。さしずめ、「会議は踊る」とでもいったところでしょうか…。
「徹底的にポリフォニックな三重奏曲を」との思いで作品にとりかかったのが2006年。長い中断を挟み(やはり「三人寄れば~」というわけにはいきません...)、形になったのが2009年6月でした。初演は2011年12月3日、金沢サクソフォンアンサンブル「第23回定期演奏会」において、ソプラノ・小川卓朗(おがわ
たくろう)、アルト・伊藤千治(いとう ちはる)、テナー・大上雅史(おおうえ まさひと)の3氏により行われました。なお、初演に際し宗貞啓二氏より多くの助言をいただきましたことを特に記しておきます(この出版譜にも氏からの助言を反映させています)。
(正門研一)