ドラマー必携
Stone: Stick Control for the Snare Drummerの日本語版です。
著者ジョージ・ローレンス・ストーンによる序文
ドラマーには、他の楽器と比べて、演奏が粗削りでテクニックも不十分な人が多いように思われる。
上手になりたければきちんと方向づけられた練習を継続的に積み重ねる以外にない。練習すればするほど上達する。
コンサート・ピアニストたちは毎日何時間も何時間も練習している。学校を卒業してプロになってからもひたすら練習を続ける。このことはバイオリン奏者でもコルネット奏者でも他の楽器の奏者でも変わらない。「技術を修得して維持する」には体系的な練習を積むしかないのである。
未経験者からはドラム演奏は簡単に思えるようだ。簡単そうであるため、ドラム学習者はプロの技術に到達して演奏家として自信を持ってやってゆくためにはどれだけ大変な修練が要求されるか、エキスパートのアドバイスを受けるまで分からないことが多い。
(中略)
本書はこの状況に対応すべくドラム教師たちからの要望に応えて書かれたものであり、正確なリズムの修得を目的とするものである。
スネア・ドラム教本:スティック・コントロール
本書はドラム演奏の1つの側面に重点を置いた練習教本である。初中級者を主な対象とし、身体動作を考慮したリズムが提示されている。本書に継続的かつ真剣に取り組めば、コントロール、スピード、柔軟性、タッチ、リズム、軽やかさ、繊細さ、パワー、持久力、正確さ並びに筋肉の使い方が各段に向上するはずである。
本書は、指、手首、腕の筋肉を自在に使えるようになることを目指している。このことは、ショーやコンテストで演奏するルーディメンタルドラマーにとってはスピード、パワー、持久力を意味し、より軽やかさが求められるオーケストラルドラマーにとってはクリーンな音、メリハリ、正確さ、柔軟性、特に「ピアニッシモ」のロールや繊細な音の陰影を意味する。
本書にはドラマーの利き手でないほうの手(右利きなら左手)を鍛えられる練習が豊富にあり、両手でのスムーズかつリズミカルな動作が可能となる。本書のスティックワークはメカニカルな動作であるため、他の「ドラム奏法」の妨げとなるものではない。すなわち、ドラム講師は自分が通常使用している教材と並行して本書で練習するページを生徒に指定するという使い方ができる。ベテラン講師は本書の豊富なリズムの中からピックアップして、より面白く生産的な「レッスン」を構築してゆけるだろう。
ルーディメンタルドラマー、コンサートドラマー、初心者、上級者、ジャズドラマー、オーケストラルドラマー。どんなドラマーでも本書で毎日1時間練習すれば自分でも信じられないような上達が実現される。ただし、本書を(そしてすべてのドラム教本を)使う上でどうしても欠かせないことは、継続して練習することである。なお、本書の著者として、私は学習者がすぐれた先生につくことを推奨する。