尺八古典本曲、巣籠り物の一種。数ある鶴の巣籠のバリエーションの一つで、琴古流・明暗対山・明暗真法流の本曲。琴古流のものは鈴慕の名を冠するが、一寺一律の鈴慕の種類ではなく、この曲ではどちらかというと「奉げる」といった祈りのような意味合いが強い。もとは鶴巣籠といった曲名であったが、いつごろからか巣鶴鈴慕と呼ばれるようになった。
琴古手帖によれば、宇治の吸江庵(キュウコウアン)の庵主・龍安より一月寺の虚無僧・残水が伝授され、それを黒沢琴古に伝えたと記されている(その際の曲名は、鶴巣籠)。琴古流に現在伝わっている巣鶴鈴慕と昔の琴古流の楽譜や一閑流の鶴巣籠とでは、同じメロディラインではあるが微妙にフレーズや指使いが異なる(現在のものはメリが多くなって少し陰な感じだが、昔のものはメリが少なく陽な感じとなっている)。
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