ヴェルディの不朽の作品として語り継がれている作品『行け、我が想いよ、金色の翼に乗って』(オペラ『ナブッコ』より)への熱烈な想いが、このピアノ編曲版を生み出す動機となったことはもちろんですが、19世紀のコンポーザー・ピアニストが、挙ってオペラ作品を基にしたピアノのためのパラフレーズや幻想曲などの編曲作品を生み出して一般に人気を博していたにも関わらず、この作品を基にした決定的な編曲が無かったこともまたこの編曲を書く動機となりました。
この編曲作品を書いている間、ピアノが表現できる範囲内であたかもヴェルディのオリジナル作品のような印象を与られる編曲になるように努めました。そうすることで、コンポーザー・ピアニストの伝統があった過去と現代の差を少しでも埋めることが私の望みです。
マーク・ヴァイナー