昭和16年(1941)、太平洋戦争開戦の年に小笠原美都子の唄でリリースされた下町情緒たっぷりの傑作です。
発表されたときには、戦時中とあって大きなヒットにはなりませんでしたが、戦後はNHK素人のど自慢などで盛んに歌われました。
榎本美佐江が歌い継ぎましたが、レコードに吹き込んだのは昭和38年(1963)でした。
作詞者の石松秋二は、『満州娘』『九段の母』など、戦前・戦中派には懐かしい歌をいくつも作詞しています。終戦時、侵攻してきたソ連軍により殺害。
作曲の長津義司は法政大学出身。企業に就職したあと、作曲家に転身。昭和14年(1939)、田端義夫の『大利根月夜』で大ヒットを飛ばし、その後も、淡谷のり子『君忘れじのブルース』などのヒット曲を連発しました。
昭和31年(1956)には、三波春夫のデビュー曲『チャンチキおけさ』で大ヒットを飛ばしました。その後、三波春夫と組んで、歌謡曲のメロディに浪曲を乗せた新ジャンルも開拓しました。そのジャンルのヒット曲に、『元禄名槍譜 俵星玄蕃』があります。
上の絵は江戸末期~明治の版画家(浮世絵師)・小林清親の『今戸橋 茶亭の月夜』。"