ドイツの有名な詩人ハインリヒ・ハイネの詩をもとに作られた歌曲は数多くありますが、ドイツロマン派の作曲家メンデルスゾーンが1834年に作曲したこの歌も、世界中で最も愛されている一曲と言えそうです。愛する人をガンジス河へ連れて行く夢を語る内容は、その時代の風潮を表しているようです。裕福なユダヤ人の家系に生まれ育ったメンデルスゾーンの作風は、明るく穏やかで楽しい雰囲気が漂うものが多いですが、もちろんこの曲も幸せ溢れる響きに包まれています。アドリブや難解なテンション・コードをあまり表に出す形にはせず、ほんのりジャズ・テイストで楽しむスタイルにアレンジしました。ガンジス河をゆったりと揺れる水面のような伴奏に乗せて、耳元で優しく愛の言葉を語りかけるようなシーンもあれば、時に、昂まる鼓動を抑えられないようにテンポが速まりついつい饒舌になるなど、膨らむ妄想の世界観を自由な歌い方で楽しんでみてください。