ゲーテの傑作「野ばら」にはとても多くの作曲家が曲をつけていますが、とりわけシューベルトとヴェルナーの作品が日本では人気があるようです。中学の音楽教科書では、近藤朔風による訳詞が取り上げられているので、“初めて歌ったドイツ語の歌”と記憶している方もいるのではないでしょうか ? ここでは、大人の恋物語を密かに描きつつ、まったりとした雰囲気の上質なジャズ・ワルツに仕上げてみました。イントロのモチーフは、唐突にそこに在るのではなく、以降いろいろなところに現れる仕掛けになっています。特に[D]では、メロディを低めの音域に置いて、味わい深いハーモニーに包まれる感覚を楽しんでくださいね。あくまで“歌”を意識して弾いて欲しいです。歌詞を深く読み解くことも、音楽作りのヒントになると思います。