1976年に発表された荒井由実4枚目のアルバム『14番目の月』に収録されていた曲です。編曲担当の私も八王子在住なので、とても馴染みのある名称が登場していますが、歌の舞台になっている周辺は、かなり雰囲気も違ってきています。それにしても、景色が目に浮かぶような絶妙な描写と洒落たサウンドが、この時代に流れていたということや、決して色褪せることなく今も素敵な歌として多くの人々に愛されていることも、素晴らしいことですね。車で走り抜けるスピード感で演奏するのももちろん素敵ですが、書き入れたアーティキュレーションを確実に弾けるくらいのテンポまで下げて、伸びやかにメロディを歌うような解釈も、よりジャジーな雰囲気を醸し出すことができるはず。ただし、のんびりしすぎには注意しましょう。流れの中で、自然にCのキーに降りて収まっていくので、いかにも“変わった”“転調した”という雰囲気ではなく、戻る時に“いつの間に変わっていたの? ”という感覚を味わえるのも楽しいですね。まずは左手の伴奏をしっかり練習してみてください。揺るぎなく、おしゃべりしながらでも余裕で弾けるようになったら、その上に軽くメロディを乗せるなど、アドリブを楽しむ要領で演奏しましょう。※歌詞なしの譜面です。