この曲集は、オーケストラのフルートのオーディション等で頻繁に課題曲になる曲を抜粋し、作曲された背景や演奏する上でのヒントを簡単にまとめ、さらにレッスンや友人たちと手軽にオーケストラパートをフルート2本で演奏できるように編曲した楽譜を加えました。
今日でも古いオーケストラスタディ曲集がよく使用されています。しかし、間違ったアーティキュレーションや強弱記号などがそのまま用いられていたり、あるいはほとんど演奏される機会のない曲が多く採用されていたりと、使い勝手が良いものがなかなか手に入りづらいのが現状です。
この曲集では煩雑にならないよう必須の課題曲を厳選し、自筆譜や可能な限り最新の研究に基づいた楽譜を採用しました。
演奏のポイントでは、筆者のオーケストラ奏者としての個人的な経験だけにたよらず、Jeanne Baxtresser著『Orchestral Excerpts for Flute(Theodore Presser Company、1995)』やWalfrid Kujala著『Orchestral Techniques(Progress Press、2006)』等を参考に、できるだけ客観的な意見となることを目指しました。
この曲集がオーケストラ・スタディーの入門書として音楽大学等での教育現場の学習機会の増加や向上、また愛好家のフルート演奏技術の向上に少しでも貢献できれば嬉しく思います。
曲目リスト
・J.S.バッハ マタイ受難曲より「愛にて死にたもう」
・ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」第4楽章
・ベートーヴェン オペラ「レオノーレ」序曲第3番
・ビゼー オペラ「カルメン」より間奏曲
・ブラームス 交響曲第1番 第4楽章
・ブラームス 交響曲第4番 第4楽章
・ドビュッシー 牧神の午後への前奏曲
・ドヴォルジャーク 交響曲第8番 第4楽章
・グルック オペラ「オルフェオとエウリディーチェ」より「精霊の踊り」
・マーラー 交響詩「大地の歌」
・マーラー 交響曲第9番 第1楽章
・メンデルスゾーン 劇付随音楽「夏の夜の夢」より スケルツォ
・プロコフィエフ 交響曲第1番「古典」 第2、4楽章
・プロコフィエフ 交響的物語「ピーターと狼」
・ロッシーニ オペラ「ウィリアム・テル」序曲
・ラヴェル ボレロ
・ラヴェル 「ダフニスとクロエ」第二組曲
・サン=サーンス 「動物の謝肉祭」より 鳥かご
・スメタナ オペラ「売られた花嫁」より序曲
・R.シュトラウス オペラ「薔薇の騎士」
・R.シュトラウス 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
・R.シュトラウス オペラ「サロメ」より「7つのヴェールの踊り」
・R.シュトラウス 家庭交響曲