尺八古典本曲。「虚鈴(キョレイ)・霧海ヂ(ムカイヂ)」に並ぶ尺八古典本曲の根源曲・三虚霊の1曲。多くの流派に手の異なるものや同名異曲がある。
中国から尺八を持ち帰り、和歌山由良の興国寺を開いた僧、法燈国師心地覚心(ホットウコクシ、シンチカクシン)の弟子でのちの虚竹禅師寄竹(キョチクゼンシ、キチク)が作曲したと伝えられている。
伝説によれば、伊勢の朝熊山(アサマサン)山頂の虚空堂(虚空蔵堂)で虚竹が仮眠中に霊夢をみ、そこから得た音から「霧海ヂと虚空」の2曲を作曲し、興国寺に帰って心地覚心にそのことを伝えたところ、霧の立ちこめる海上かなたから聞こえた曲を「霧海ヂ」、霧の晴れた空に響いた曲を「虚空ヂ」と名づけたという。
全国に広く伝播しており、各流派にそれぞれ数種類ある。