琴古流の本曲で裏組曲、虚鈴の一種。琴古手帖によれば、一月寺の門弟・秋曲子より初代黒澤琴古へと伝来し、かわりに夕暮ノ曲と交換したといわれている。
最近ではもっぱら三虚霊といえば「虚鈴、霧海ヂ、虚空」の三つの曲を現すことが多いが、昔はこれを三曲と呼び、三虚霊はもっぱら「琴三虚霊・打替虚霊・下野虚霊」の三つ曲を指す名称として使用されていたという。
琴古流本曲の中では、わりと簡潔ながら変化にとんだ良曲で、他の曲の手も感じられる。一月寺の伝来であることや本調子(一越調、D)であることなどから表組の最初の方にあってもいいようなものだが……。このあたりを踏まえても不思議な由来の曲である。
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