杉本 能 / プレリューディオ・トランクイッロ（バスクラリネット版） / トイピアノ / チェレスタ 上級

▼楽曲解説（演奏会当日のプログラム・ノートより）

　20世紀初頭。既存の「調性音楽」という枠組みを限界まで拡張した後、アルノルト・シェーンベルク（オーストリア 1874〜1951）は、「無調音楽」のための理論と言っても過言ではないと思われる「12音技法（セリエリズム）」という理論を開発した。1オクターブ内のすべての音（12音）をシステム化し、平等に扱うと言う点で、この理論は非常に先進的で画期的であった。
　さて、時は流れ1950年代。このシェーンベルクの理論をさらに発展させた技法がうまれた。これを「トータル・セリエリズム」という。前述の理論では、「音高」のみをシステム化していたのに対し、こちらは「強弱」や「リズム（音価）」、「アーティキュレーション」までも徹底的にシステム化し、厳密なルールのもとで、管理される。
　本作《Preludio tranquillo》は、いわば「トータル・セリエリズム風」といえる楽曲である。トイピアノの特性上、「強弱」や「アーティキュレーション」の完璧な管理は不可能だと判断したため、必然的にルールが甘くならざるを得なくなった。しかし、それによって導き出されたメリットがあると信じている。

＊トイピアノのパートは、卓上鉄琴等の楽器に置き換えて演奏してもよい。しかし、ある程度「チープ」なものを選択することが望ましい。

▼Instrumentation

Bass Clarinet in B♭
Toy Piano