
「木へん」の漢字はたくさんあり、ほとんどの場合「木の種類や状態」、「木を使って作った物」など、木に関する意味を持ちます。その中で、木へんの隣に季節の言葉「春夏秋冬」が入る漢字がありますが、その中で1つだけ極端に見かけない漢字があります。それが、「楸(ひさぎ)」です。
その理由ですが、漢字としては存在するものの、この「楸」のみ唯一古語として扱われるためだと思われます。
「春」ならば、「椿(ツバキ)」、「夏」ならば「榎(エノキ)」、「冬」ならば「柊(ヒイラギ)」…というように、それぞれ植物を表しています。この「楸」も同様に、「ヒサギ」という植物のことを表しているのですが、現代では「ヒサギ」ではなく「アカメガシワ」と呼ばれています。
楸は、梅や桜のような華やかな植物ではありません。しかしながら、日本最古の和歌集である万葉集には、この「ヒサギ」が含まれる歌が4首、詠まれています。
その葉は丈夫で、食物を包むために使用されたり、樹皮には薬効があるとされ、楸は庶民の生活の中に浸透していたと言えます。
「楸」という言葉から、いにしえの時代…天皇や貴族・豪族でもなく…ただただ懸命に生きている市井の人々の様子が垣間見えるような気がいたしました。決して派手ではないけれど、力強く生きている人々…この曲は、そんな庶民の生活ぶりをイメージして書いた曲です。