断崖の絶壁に立ち尽くしながら夜空の彼方を見つめていると、何時しか煌々たる星の輝きが私の心を捉えていた。イタリア語で南十字星を意味する Croce del Sud。
大航海時代以来、主に南十字座が天の南極を測るために使われてきたという。南方にある星座のため北半球では見えない場所が多いが、南半球の国や地域では各地の旗や紋章に使われており、アイデンティティの象徴とされた。
通称「芸大和声」の教本を参考にして書いたピアノ曲で、何度か転調を繰り返しながら「ナポリの2度」「借用和音」「ドリアの4度」「準固有和音」「進行定型」「ピカルディの3度」などを随所に織り交ぜては、テナーの配置を極力一定に保つことで深淵なる南十字星の印象、そのイメージを壊さないように意識しました。
注1:テノールの箇所に16分休符が抜けております(冒頭から終わりまで)
注2:6小節目のソプラノ音は共にC音です(D音は誤り)