ジュリアン・エルヴェによる序文
パリ音楽院で学んでいた頃、私はリヒャルト・シュトラウスの音楽にすっかり魅了され、彼の作品を1つ残らず全て聴くことにしました。作品18に至ったとき、この曲の録音を探すのに随分と苦労しました(現在のストリーミング・プラットフォームが普及するずっと前のことです!)。やっとの思いで、ジネット・ヌヴー(Ginette Neveu)が兄と一緒にこのソナタを演奏している録音を入手できたとき、私は大きな衝撃を受けました。この曲があまり演奏されない理由をヴァイオリニストの友人たちに尋ねてみると、「ピアノパートがとても難しいから」、「ヴァイオリンには他にも膨大なレパートリーがあるから」という答えが返ってきました。私は是が非でもヴァイオリニストになって(!)、この傑作を演奏したいと強く思いました。試しにクラリネットで演奏してみたところ、非常に上手く行くことが分かりました。そこで、私の最初のアルバムに収録したいと考えたのですが、残念ながら2011年の時点では著作権の問題で実現しませんでした。シュトラウスの作品がパブリックドメインになった今、この曲を発表できることを嬉しく思います。私と同じように、皆さんにもこの曲を楽しんでいただきたいと思います!最後の楽章はかなり "Till Eulenspiegelisch"(ティル・オイレンシュピーゲルを彷彿とさせる)なので、我慢できずにEb管のクラリネットのパートを加えてしまいました。Eb管で吹くか、Bb管で吹くかは皆さんにお任せします。