今回収録された«6つの演奏会用練習曲»は、1984年から1987年にかけて作曲されたものです。20世紀80年代のソ連において、ジャズ音楽は、「親米」音楽のように言われる一方で、「鉄のカーテン」の中に存在する様々な情報源を基に急速に発展するという、少々奇妙な状況にありました。私は1983年にグネーシン研究所(現ロシア音楽アカデミー)を卒業し、1984年にヴィテプスク(ベラルーシ)で行われたプロのジャズフェスティバルに初めて出演することになりました。この«クレド»はこの演奏会のために書いた«6つの演奏会用練習曲»の1つです。私はそのときから、クラシックとジャズを同時に愛し、両方を生涯にわたって演奏していくことを知っていたので、このような名前をつけました。
私は、当時から自分の国におけるジャズとクラシックの融合に大きな可能性を感じていましたが、時が経つにつれ、その考えは間違っていなかったことが分かってきました。1987年、出版社「ソビエト音楽」が私の«6つの演奏会用練習曲»をニコライ・カプースチンの«8つの演奏会練習曲»と一緒に出版することを決めたとき、私は«クレド»という名前を残すことが許されませんでした。当時の編集者によると、«クレド»という名は思想的に間違っており、宗教的な願望を美化しているということでした。私がこのタイトルの本当の意味を説明しても理解されることはなく、この練習曲は編集者によって«インスピレーション»と呼ばれるようになりました。それでも私は、コンサートにおいては«クレド»の名を掲げ続けました。
他の5つの練習曲については、出版時に問題はありませんでした。これらは、特にプロのピアノやプロのジャズピアノの技術を身につけるために書かれたものです。純粋な芸術的課題だけでなく、各練習曲には指使いや 記号で強調された技術的課題も明確に定義されています。練習曲が様々なスタイルで書かれているのは、演奏スタイル面での練習も追及したためです。
練習曲への取り組みと演奏の両方が演奏者にとって楽しいものであること、また聴く人にとっても楽しい音楽であることを、心から願っています。
ダニエル・クラーメル
2022年6月29日